柏☆夢追い人 

国際協力活動に燃える、齋藤京子さん

とびっきりの笑顔、である。
瞳の奥がキラキラと輝いて、好奇心と探求心がはじけ飛んでいる。コロコロと笑うその横顔がまぶしくて、何だかこちらの方が恥ずかしくなってしまった。

齋藤京子さん、21歳。麗澤大学外国語学部英語科3年生。同大学の国際交流サークル「プアン」の代表でもある。
「プアン」は、タイ北部における少数民族の農村開発及び子供たちの教育への協力を目的として、99年9月9日に結成されたサークル。タイからの留学生との交流をはじめ、国内外のボランティア団体のお手伝いや勉強会、ワークキャンプなどの活動を行っている。

京子さんは、鴨川市出身。
高校3年生のとき、先輩から麗澤大学を紹介され、来柏した。
「ちょうど桜が満開の時期で、もう、びっくり! うわぁ、なんてきれいなんだろう!!って。完全に一目惚れですよね」と、はにかみながら笑う。さらに、同大学の国際色豊かなキャンパスとアジア地域について幅広く学習できるカリキュラムにも強く惹かれたという。

自身は小学校4年の頃から英語を学び、アメリカには2度ほどホームステイの経験がある。また、世界各地を訪ねて歩く英語塾の先輩たちから、見知らぬ国の風景や人々の暮らしぶりについて話を聞く機会も多く、国際交流への思いが募ったという。

「特にインドへ訪ねた人の話がものすごく心に残って、それからずっとアジア諸国に興味を持つようになったんです。麗大には東南アジア研究で有名な竹原茂先生もいらっしゃる。入るんだったら、絶対この大学!って、心に決めました」

入学後は、さっそく竹原ゼミに所属。
仲間とともに、タイへのスタディーツアーに参加し、チェンライというタイ北部の山岳地方を訪ねた。そのとき、現地の人々の貧しい生活ぶりやとアヘン中毒や人身売買など根深い社会経済問題をかかえているのを目の当たりにして、言いしれぬ衝撃と何かの形で彼らの役に立ちたいとの熱い思いが猛然と沸いてきたと、京子さんは話す。

「経済的自立はもちろんのこと、教育の充実により村のリーダーを育成していくことも必要です。この子たちに何を伝えたらいいのか、私たちに何ができるのか、そんな思いからサークルを立ち上げたんです」

一昨年の秋、9人で立ち上げた「プアン」は、現在部員30数人の大所帯に。
学習会や現地へのスタディーツアー、留学生との交流やフリーマーケットのほか、竹原先生が会長を務める「メーコックファームプロジェクトジャパン」のイベントの手伝いなど、積極的に国際交流活動に取り組んでいる。

「小さいときから思い描いていた、私にとっての“国際交流”。自分にできることは何ななのか、在学中に自分自身が関われるフィールドを見つけたいと思っていました」 そして、この3年間、多くの人との出会いや様々な体験を通して、大きな収穫を得たという。

「フェアトレードを研究するようになって、共生とは何か、私なりに理解できるようになったと思うんですね。フェアトレードは単に貧しい人たちの仕事を作る、そして自立を促すといったものではありません。現地で彼らが物を作る方法は伝統的、つまりは自然を壊さない、エコロジカルなもの。彼らの環境を壊さず作るということで、持続可能なのですね。自然はこの地球みんなのもの。ある国の自然破壊は、いつか自国の自然の破壊につながる。私だけの地球じゃない。私たちの選択一つ一つが、この地球を作っているんだ、と分かったのです」。

そんなとびきり明るい京子さんだが、今、大いに頭を悩ませていることがある。
この春、4年生。今後の進路について、決断しなければならない時期にきているのだ。

「卒業後は、現地で本格的に活動したい。しばらくの間日本で働いて、資金を蓄えてから現地へ向かうか、それとも、いきなり現地に飛んで就職し、見聞を広めながら活動するほうがいいのか・・・。でも、一方で、大学院に進んでもう少し研究を続けたいという思いもあって・・・、迷っています」 けれど、いずれの道もタイでの平和活動につながるもの。憧れることもあるという〈幸せな結婚〉や〈楽しい育児生活〉は、当分の間はおあずけだ。

「うーん、でもなぁ、ボランティアで関わっていることを仕事にするって、大変なことなんじゃないかな。どんなに苦しくても貧しくても、乗り越えていける?」 そんな意地悪な質問にも、ほほえみながら答える京子さん。「小さくてもいいんです。私自身の汗と仕事で、恵まれない子供たちに安らぎと平和を送りたい!!」
笑顔の向こうに、キリッと筋の通った意志の強さを感じた瞬間だった。

そうだね!
夢と勇気と好奇心を鞄に詰めて、世界に羽ばたけ、京子さん!!

△上へ戻る

柏☆夢追い人 ID.001 齋藤京子さん