2001.10.29

インターネットラジオで情報発信!サボテン工房

   

by=上野さくら


 子どもの頃、憧れていた仕事があった。テレビやラジオの番組製作、いわゆるマス コミのお仕事だ。

 幸い、といっていいのかどうか、大学2年の頃、ひょんなことから某テレビ局のレ ポーターに選ばれ、夢を実現するチャンスを得た。当時は若さゆえ、天にも昇る気持 ちで舞い上がり、ただただ浮かれていたように思う。

 ところが、実際その世界に入ってみれば、華やかな表舞台とは対照的に、現場の仕 事は地味で厳しい修業の連続。昨日まではただの視聴者でも、カメラの前ではプロの しゃべりが要求される。〈業界のいろは〉など教えてくれる人もなく、とにかく見よ う見まねでこなしていくしかない。夢や憧れだけでは決してついていけないプロの世 界に驚き、悩み、苦しんだ日々。そんな〈青い季節〉が、私にもあった。

 そして今、同じようにマスコミへの道に憧れ、夢を追いかけている若者たちがい る。江戸川大学マスコミニュケーション学科の学生たちが集う〈サボテン工房〉だ。

 彼らの活動の拠点は、この秋柏駅南口にオープンした〈かしわインフォメーション センター〉。同センターのボランテイアスタッフとして市内のホットな情報を取材 し、センター内に設けられたミニスタジオでインターネットラジオ番組を編集。同セ ンターのホームページ上で配信しているという。

 取材に訪れた日、ミーティングに集まっていたのは、村上敦彦くん、藤田健くん、 矢野博之くん、増田真吾くん、熊谷直之くんの5人。いずれも、マスコミ業界に就職 を志望する同大学の2年生だ。

「このセンターの企画委員を務める朝倉先生に、『柏におもしろい施設ができるよ。 君たちもボランティアで関わってみたら?』と声をかけられたのが、サークルを作っ たきっかけ。まさか、こんなに大がかりな施設だとは思わず、びっくりしています」 と話す、ディレクターの村上くん。「さまざまな街の表情をウォッチングするのが好 き。ここでの活動をスタート地点に、いろんなことにチャレンジしたい」と抱負を語 る。

 「今、自分たちの世代には『取りあえず、おもしろいことを適当にやればいいん じゃない』っていう雰囲気が蔓延してるよね。でも、そんなんじゃイヤだなって、 ずっと思っていた。だからこの話を聞いたとき、大学生活の中でやっとやりたいこと に出会えた!って感じたんです」と話すのは、アナウンス担当の藤田くんだ。

 また、インターネットに興味のある矢野くんは「まず、自分がみんなに伝えたいと 思うことをこの場所から発信していきたい。センターのホームページ作りにも参加し て、僕たちの感性を生かしながら増築できたらいいな、と思っています」と話す。

 とはいえ、ラジオ番組の収録は、みな初めての体験。企画から進行、取材に編集ま で、何から何まで不安と緊張の連続だ。その上、活動のフィールドはキャンパスをは るかに越えている。番組企画の打ち合わせや取材先で垣間見る社会人の真剣な仕事ぶ りに、学生の甘さは通用しないと実感することもしばしばだ。

「ここでの活動を通して、普通の学生生活では出会うことのないさまざまな年代の人 たちと関わることができる。考えてみれば、こういう機会を与えられたことはすごく ラッキーだし、この経験を自分の将来に役立てたいと思う」と話す、矢野くん。

「取材や番組製作を重ねてもっと柏を知りたいし、好きになりたいね」「それと、い ろんな世代に受け入れられる番組を作っていきたいと思う」「柏市内にとどまらず、 もっと広いエリアで活動したいね」「できれば、ドキュメンタリー番組も作ってみた いな〜」などなど・・・。彼らが抱く夢はまだまだピュア。大人の私から見ればまぶ しいくらい、輝いて見える。

「サボテンは見た目はかたいけど、中身はみずみずしいでしょう。トゲはあるけど自 分からは攻撃しない(笑)。そして、時間がかかるけどいつかきれいな花が咲く!  そんな思いで名付けたんです」という、〈サボテン工房〉。果たして、みんなをあっ と驚かせるような華麗な花を咲かせるのかどうか・・・。君たちの活躍ぶりに、〈か しわインフォメーションセンター〉の命運がかかっているかも???

何はさておき、〈サボテン工房〉、まずはそのお手並みを拝見しよう。

   かしわ Internet Radio Station