毎年多くの人が集まる夏の一大イベント「柏まつり」が今年も7/28(土)〜29(日)に開催された。
その2日間に築80年の民家が公開されると聞き、私も訪ねることにした。
柏神社すぐ横の商店が立ち並ぶ「柏銀座通り」は、恒例のフリーマーケットで初日から大賑わい。
人込みを掻き分けるように進んでいった先、柏銀座通りの一番奥に、今回公開される勝矢さん宅があった。
周りをビルで囲まれながら静かに佇む木造二階建ての家と、目に鮮やかな緑が生い茂る庭。
そこだけ時が止まっているかのような印象を受ける。
この家は、今回の公開・写真展を企画した勝矢ひとえさんのお祖父さん・お祖母さんの住まいで、
昭和3年に建てられてから約80年の間、柏駅周辺と勝矢さんのご家族の歴史を見守ってきた。
来年取り壊されることになり、その前に「最後のお披露目をしたい」と勝矢さんが手作りで企画展を準備なさってきたのである。
家の中に入ると、表の喧騒が嘘のような静けさ。早速、2階の展示室から先に見学させていただくことに。
柏市役所から借りた昭和30年代の柏を撮影した写真パネル(約50点)や、郵便局員だったお祖父さんのマントや帽子などが展示されている。
写真からは柏駅周辺の発展の様子が伺えて興味深い。
1階には、過去に“朝日堂”というパン屋さんを営んでいた時のパン作りの台(現在はPC机として使用なさっているとのこと)の他、
年代を感じさせる茶箪笥や懐かしい黒電話・火鉢など昭和の日用品の数々が展示されている(一部は展示販売されている)。
台所とお風呂が一緒になった構造や、神棚とは別に天井近くにしつらえられている小さな祠のようなものなど、珍しい建築様式も目を引いた。
「かつては祖父母の家だった場所に、今年1月から私が住むことになり、“縦のつながり”を実感するようになりました。」と勝矢さん。
「私にとっては、最初からお祖父ちゃんとお祖母ちゃんだった2人にも若い頃があり、
お父さんにもこの家で育った少年時代があったということを、この家に住むようになってから改めて感じるようになったんです。」
と語ってくださった。
昭和初期の市井の人の暮らしを今に伝える家屋がなくなるのは残念だが、今回の公開・写真展を通して、
懐かしい昭和の雰囲気を味わうと共に、三世代の家族の軌跡を私自身も少しばかり共有できたような気がした。
公開準備の様子などが綴られた勝矢さんのブログ「打ち上げ花火」
http://hello.ap.teacup.com/hitoe/