かつては柏のシンボルとも言われていたストリートミュージシャン。しかし、最近では路上でライブを行う若者の姿が
減ったことに気付いた人も多いだろう。それは騒音問題等を受けて、2005年から「アンプ類の使用不可」などの「柏ルール」が
設定され、路上ライブが認定制になったことも関係している(※)。しかし、音楽の街としての柏を再び活気づかせるには、有望な
若手ミュージシャンたちを街ぐるみで応援するのも大切なことである。そこで、1998年から毎年開催されていた路上ミュージシャン
コンテストの代わりに、今年は柏を中心に活動しているミュージシャンたちによるライブイベント「音街かしわ2007」(10/14-21)が
行われることになった。
10月14日(日)のオープニングイベントを皮切りに、15〜20日までは柏駅東口ダブルデッキの特設ステージで、様々なジャンルの
ミュージシャンの演奏を聴く事が出来る。今回は実験的に特設ステージにおいてミニアンプを使用可能にするなど、新しい「柏ルール」
の構築も視野に入れた試みを行うとのことである。また、21日(日)には、「音街かしわ2007」イベントの締め括りとして、大堀川防災
レクリエーション公園において、柏出身のアーティストが出演する「音Fesかしわ2007」も開催される予定である。
私は14日のオープニングイベントに参加した。イベントの開始時間が近づくにつれて観客達も集まり始める。あいにくの曇天ではあるが
時々薄日も射す中、いよいよライブがスタート!
トップバッターの内田恒太さん。個性的な高音とスキャットが加わった「スタンド・バイ・ミー」が特に心に残る。
2005年に結成した3人組「earth」。スピード感に溢れる演奏が印象的。
2006年5月に結成したギター&鍵盤ハーモニカのデュオ「おもいでサラダ」。ほのぼのとした歌からシャープなインストゥルメンタルまで幅広い楽曲を繰り出す。
独特な風貌と語りで観客から笑いを誘う手賀沼淳さん。ドラえもんギターや、掃除機を片手にパフォーマンスたっぷりの演奏をする。
以上の4組の演奏が終わったところで、サプライズゲストのサンプラザ中野さんが登場!柏出身のアーティストで「爆風スランプ」の
メンバーとして一世を風靡したサンプラザ中野さんは、現在、柏エリアの音楽シーンを発展させる“地域密着型レーベル”「柏兄弟」の
プロデューサーとしても活躍中である。
「柏のように、駅周辺に8軒ものライブハウスを抱えている街は珍しい。都内でもあまりないんじゃないかな。そうした柏の環境を生かして、
音楽シーンをもっと盛り上げていきたい。」とサンプラザ中野さん。そしてライブの後半が始まった。
2001年、ボーカルの東野ハマジさんを中心に結成したバンド「Short Leg Summer」。ステージ上を所狭しと飛び跳ねる熱い演奏で会場を
盛り上げる。革ジャンにリーゼントと硬派なロックンローラーの見た目とは裏腹に、礼儀正しく親しみやすい人柄が伝わってくる。
男性2人によるアコースティックデュオ「MYUSIN」。中学時代の同級生で、その頃からストリート活動を開始。2006年度bay fmの
音楽コンテストで優勝。柏兄弟レーベルのアーティスト第一弾として2007年にCDデビュー。のびやかな歌声が耳に心地よい。
男性2人によるユニット「Vijandeux(ビジャンドゥ)」。太陽の光を思わせるソウル・ミュージックを聴いていると、自然と体がリズムに
乗って動き出す。
2007年にデビュー10周年を迎えたバンド「スキップカウズ」。客席まで飛び出して観客も巻き込んだステージを展開する。
柏をストリートミュージシャンの街として一躍有名にした「Something Else」(2006年解散)の元メンバーの今井千尋さん・伊藤大介さんに
よって新しく生まれたプロデュースユニットが「ranai」。相変わらずの見事なハーモニーに観客達も聴き入っていた。
秋空に響く個性豊かなミュージシャン達の演奏に、心が躍った4時間だった。そして、柏が「音楽の街」として、今後どのような展開を
見せるのか一市民としてますます楽しみになった。
幅広いジャンルの音楽をライブで聴くことができる「音街かしわ2007」の取り組みは、音楽を演奏する側にとっても、また聴衆側にとっても、
「街に音楽が溶け込んでいる“柏”って良い街だな。」と改めて感じる機会になったのではないだろうか。
※柏駅周辺の商業関係者で構成される『柏駅周辺イメージアップ推進協議会』が、行政との話し合いによって「柏ルール」を設けるとともに、
ミュージシャンの認定制を導入した。
「ストリートミュージシャン認定ガイド」
◆ストリートブレイカーズ(「音街かしわ2007」企画・運営)HP
http://www.streetbreakers.org/