==By上野さくら==
正直言って、〈柏まつり〉がこんなにでっかいスケールで展開されているとは、思ってもみなかった。
市の広報紙やチラシなどで、盛りだくさんのイベントがあるのは知ってたけれど、「2日間に60万人の人出」という
新聞記事を見て、びっくり!柏の街もずいぶん大きくなったもんだなぁと、改めてその躍進ぶりに驚いている。
でもね、子育て中の母親にとって、〈柏まつり〉は1年のうちで最も注意すべき、恐怖の2日間でもあるのだ。
数年前、浮かれ気分で4人の子どもたちを連れて出かけ、にが〜い経験をしてからというもの、すっかり避けるようになっていた。
その日、沿道にズラッと居並ぶ夜店を前に、子どもたちは驚喜乱舞。あっという間に、てんでんバラバラ走り去り、
人ごみにまぎれて2人も行方不明になってしまったのだ。必死になって探しまわり、ようやく見つけたところで、
今度は夜店の前で「買って!買って!」の大合唱。10メートル歩くごとに、財布の中身はタクシーのメーターよろしく、
カチャ、カチャと音を立て減り続け、2時間もたたないうちに、スッカラカン。はしゃぎまわる子どもたちの追っかけとお金の計算で、
身も心もクタクタのヨレヨレだ。「んもうっ!2度と子どもたちとなんか、来るもんか!」とぶち切れ、以来、
盛り上がりのないさびしい夏を過ごしてきた。
けれど・・・、今年は、行ったゾ!初日の7月29日(土)、取材にかこつけて、ひとりっきりでひさしぶりに、
柏の夏祭りを楽しんだ。初めて見るねぶたや跳人、花自動車のパレードや沿道を埋め尽くす人・人・人。
いったい、どこからやってくるの? と思うほど、後から後から、おもしろいほど見物客が増えていく。
何より驚いたのは、〈柏おどりコンテスト〉のバラエティーにとんだ出場者の面々だ。柏郵便局のユニークな「ポストンズ」、
男性軍団のかけ声も勇ましい「NTT東日本かしわ」、揃いのムームーにビーチサンダル、南国ムードを漂わせた「樋口リコ・フラ」
チームなどなど。衣装といい、振り付けといい、いわゆる「盆踊り」のワクにとらわれず、どのチームもやる気満々。
会場の西口駅前はそんな出場者とあふれんばかりの観客で、ムンムンに活気づいていた。
コンテスト出場は予選を勝ち抜いた16チーム。なかでも群を抜いて目立っていたのは、「CRS緑千会」と
名乗る熟女(?)軍団だ。お年の方は、50代から70代くらいだろうか。黒のTシャツに黒のスパッツ、暴走族が着る特攻服(?)の
ようなハデハデの羽織をまとい、濃い目の化粧と緑や赤のラメ入りスプレーで彩られた髪。まさに「何だ?何だ?」状態で、
最初に目撃したときは、思わず「うぐぐ・・・」ときてしまった。(ごめんなさい!)
ところがね、踊り出すとすごいんだ、これが! オバちゃまたちの目がイキイキと輝いて、両手に鳴子(拍子木のような音がする楽器?)を
握りつつ、何とも伸びやかに踊りまくるの。前を向いて力強く踊る姿は、まさにパワーさく裂! 年齢なんて感じさせない、
圧倒されんばかりのパフォーマンスだ。その振り付けは、札幌でブームの「YOSAKOIソーラン」を思わせる。
スタンダードな、しとやかに踊る「柏おどり」とは異なり、元気がみなぎっていて、むちゃくちゃ、新鮮!
年はとっても、前向きに生きてるって感じがして、こちらまで爽快な気分になった。
そういえば、いつかテレビで見た本場札幌の「YOSAKOIソーラン」にも、年輩の女性が数多く参加していたっけ。
画面の向こうで、汗だくになりながら笑顔で踊るオバちゃまたち。この人たちに、「お年寄り」なんて言葉は、ぜんぜん似合わない。
ひと昔前、女性は他から当てはめられる「女らしさ」「母親らしさ」「おばあちゃんらしさ」に縛られて、
自由に自分を表現できない時代があった。でも、今は違う。
「らしさ」のワクを越えて、本当の私、なりたい自分をイキイキと生きればいいの
だ。元気に踊るオバちゃまたちの姿に、なんだかすっごく、勇気づけられた感じがした。
「CRS緑千会」オバちゃま軍団の、汗と笑顔とパワーに、乾杯!来年もまた、あっと驚く衣装と踊りで、私たちを楽しませてね!!
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