「鼓動と共に毎日はじけよう、Oh!Town Town My Hometown・・・」10月15日(日)、宵やみの柏駅東口に300人の熱い歌声が響く。午後1時から5時間にわたり繰り広げられた〈ストリートブレイク200かしわ〉のフィナーレだ。
この日出場したアーチスト全員がステージに上がり、ストブレから生まれた『HOME TOWN』を会場のみんなと熱唱。降りしきる雨の中、傘もささず立ちつくし、声を合わせる観客たち。最前列に陣取った女子高校生たちは泣きじゃくり、互いに肩を抱いている。舞台裏を支えたボランティアスタッフ〈ストリートブレイカーズ〉たちの横顔にも、感動と達成感にあふれたやわらかな笑みがこぼれていた。 今年で3回目となるミュージックandパフォーマンスコンテスト〈ストブレ2000〉。全国から89組の応募があり、先月行われた公開オーデションを勝ち抜いた22組が、この日の本戦に挑んだ。駅の東西2ヵ所に設けられたステージには5000人以上の観客が足を止め、若者たちの演奏に耳を傾けた。 いつものことながら、ギャラリーには小さな子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで。女子高生や大学生に混じって、真剣な顔つきでステージを見つめる中高年軍団の姿に、柏ってアットホームな街なんだなぁとつくづく思う。
途中から雨が降り出し、観客席が閑散としてしまうんじゃないかとハラハラしたが、大丈夫。傘をさしたり、頭の上にハンカチを乗せたりしながら、そのままじっとステージを見守っていた。 気がつけば、私の横には本多晃柏市長が。雨に濡らながら穏やかな顔で演奏に聴き入っている。審査員の西川りゅうじんさんも委員席から飛び出し、ステージ正面からアーチストたちの演奏に熱い視線を送っていた。 出演者はアマチュアといえ、甲乙つけ難いほど実力ある面々ばかり。数十人の女子高生親衛隊を引き連れた〈LOOP〉、TBS「学校へ行こう」で癒し系ミュージシャンとして出演中のミックイリキ率いる〈THE BONSAW〉、男女5人でエネルギッシュなダンスを披露した〈JUD〉など、そのパワフルなステージに観客たちは降りしきる雨も忘れて酔いしれた。
審査の結果、ベストミュージック賞は『漂流都市』を歌った〈馬場宏美〉、ベストパフォーマンス賞は私の一押し『闘え!オヤジ』の〈EASTえむ〉、ベストステージ賞には〈THE BONSAW〉が決まった。
最優秀賞であるイメージアップ・グランプリ(柏レイソル賞)には、男性4人組の〈ストロー〉が受賞。来月23日のレイソルホームゲーム、名古屋グランパス戦で、受賞曲を披露するチャンスを得た。 コンテスト終了後、揃いのジャケットを着た面々がてきぱきと後片づけする姿が目に映った。この日のために、何ヶ月も前から準備を重ねてきた〈ストリートブレイカーズ〉たちだ。彼らは、3年前柏のまちをもっとおもしろくしようと柏市商工会青年部が立ち上げた〈かしわ塾〉を母体に集まった市民ボランティアである。 メンバーは20代から60代までの男女40人。市民はもちろん、市職員も加わり、一体となってイベントを作り上げてきた。この仕事は全くのボランティア。当然報酬などない。そればかりか、打ち合わせのために仕事や学校の時間をやりくりし、手弁当でこの活動にかかわっている。 私自身、こういう形でボランティアに取り組んでいる人たちを見るのは初めて。正直言って、最初は???と思っていた。けれど、取材のため何度か通っているうちに、彼らの純然たる思いに共感を覚えるようになっていた。 この会を支え、若者のよきアドバイザーでもある石戸新一郎さんは「若い人たちの力で柏をもっとおもしろい街に、みんなが住みたいと思える街にしたいじゃないですか」と語る。「東の渋谷じゃなくて、柏は柏。そのためには、〈夢が形になる街・かしわ〉であって欲しい」。 「あなたにとって、わが街・かしわはどんなまちですか?」石戸さんの一言はそう語りかけているよう、私の心にいつまでも残った。街は行政や商店街の人たちだけが作るんじゃない。住んでいる一人一人が築いていくものなんだ・・・。「住んでいてよかった」と思える街にしたいなら、私も何かアクションしなくちゃ! この秋、柏の街で繰り広げられた感動のミュージックシーンは、みんなの心にどんなふうに映ったのだろうか。あなたの声が、聞きた〜い! (記:上野さくら) |