今年も燃えた「ストリートブレーク かしわ 2001」

(記)庭野すみれ


今年も燃えた「ストリートプレ-ク かしわ 2001」寒風にめげず、最後まで聴いたよ

 11月4日.前日までの悪天侯に代わってカラリと晴れ上がった。「よし今年はしっかり聴 くぞ」と、気持ちも奮い立った.何をかくそうこのすみれさん、あるストリートミユージシャ ンを自宅や公民館などに招いて、4回もコンサートを開いたことのある、知る人ぞ知る物好き おばちゃんなのである。

 開始時間の午後1時ちょうどに会場となる拍駅東口ダブルデッキに到着。ステージ上ではま だリハーサルが行われており、審査員席には、柏レイソルの北嶋秀朗選手の姿もあった.4回 目となる今年のストリートミュージック及びパフォーマンスコンテストには、岩手や大阪方面 を含む101組の応募者があったそうで、この中から予選を通過した21組が決戦に挑んだ。

 いよいよステージ開始。最初のユニット「京太郎と晴彦」は歌う.<ボクはもう少年ではな くなった.こわれてしまいそうなボク、遠くへいこうとするけど胸の鼓動は鳴らないまま‥ ・このままだとサピついてしまいそう>.ああ、私ってこんなセリフに弱いのだ。

 歌だけでなく、それぞれのパフォーマーぶりがこれまた面白かった.「親愛なる柏のみなさ ん、ゴミはちゃんと分別して出していますか.市民税はちゃんと払っていますか。商工会の皆 さん、今日もご出勤ごくろうさま」と、笑わせたのはオカリナとギターのユニット・ONE− TRICK PONYの2人。

 素肌にシャツを羽織って矢沢永吉風にきめた愉快なジョーさん.「ハワイから東武線に乗っ てきましたした」と、会場を煙に巻いたのはウクレレ片手に登場したマチコマウイさん。男性 のユニットには、ときに親衛隊らしい女子校生から「キャー」と黄色い声援がとぶ。

 一瞬アトラクションかと勘違いさせたのは、女性2人組のファイス。劇画風な派手な衣装を まとい、うしろに悪魔役の男性3人を従えてさっそうと登場.出番が終わった2人に「家族の 反応は?」と聴くと、「おばあちゃんも親も会場に来ています」と、いたってさわやか。そう いえば、私の横でも出場者のおじいちゃんらしい人が熱心に聴いていたっけ。

 延々5時間あまりに及んだ競演が終わると、プレゼンテーターに本多市長や、イメージアッ プ推進協議会会長の石戸新一郎氏らを迎え、授賞式がおこなわれた.審査は難行したらしく、 まず5組に特別賞が贈られた.ベストミュージック賞にはマチコマウイさんの「オレンジの空 君を想ふ」、ベストパフォーマンス賞には、ピンクの衣装で会場をパッと明るくしたマイクロ ニクルの「ララルラ」、ベストステージ賞にはLOOPの「安らぎの場所」が、それぞれ選ば れた。

 満票を得てのイメージアップグランプリは、谷戸ゆりあさんの「さよなら」に決定.恋人と 別れた切なさを、透明な声でバラード風にうたいあげ、聴衆を魅了した。彼女には拍レイソル のホームゲーム最終戦、対コンサドーレ札幌戦の前に、歌を披露できるというごほうびが与え られた。16歳にしてはなかなかの表現力だった。よかったね!これからが楽しみ。

  フィナーレは、ここからプロデビューした なおとさんが登場、彼が作ったストリートブレ ーカーズのテーマソング「home toun]を、全員で大合唱.ストリートブレーカーズ というのはこのイベントを支えているボランティア団体のこと。1998年、柏の街をもっと 面白くしようと、若い人たちが結集したのが始まりだった。当初は市長をまじえて、朝まで熱 い討論を交わしたという。

 このイベントのアドバイザーで、仕掛け人でもある西川りゅうじんさんは「柏はいま日本一 面白い街です」と前置きして、「若者と、ハートの若い大人の街であり、小さな商店からデパ ートまであって、自然とのバランスもいい」と語ってくださった。さらに、「そのむかし、想 いをよせていた人が住んでいた街」とか.なるほど、なるほど、りゅうじんさんの柏を愛して やまない気持ちは、そんなところにもあったわけだ。

  途中から風が強まり寒かったが、日常を思いっきり脱ぎ捨て、酔わせてもらった.時代なの か、メッセージ性のあるものは少なかったが、借り物でない自分たちの言葉やしぐさで、自己 表現する姿に、中高年のおじさんやおばさんたちも、惜しみない声援を贈った。

 これらの若者たちが、キラキラしていればいるほど、遠いアフガンでの出来事がチラチラと 頭をかすめ、これからもこのような由由が奪われることがないようにと、願わずにはいられな かった。