2002.7.30 


<庭野すみれの なんでもウオッチング>
メチャおもしろい 今どきのプラネタリウム
     

(記)庭野すみれ


 

 土曜日の昼下がり、柏図書館の2階にあるプラネタリウムをのぞいてみた。田舎で降るような星空を仰いで育った私には、 都会の空がなんともうらめしく、せめてプラネタリウムでもと、子供が小さい頃ずいぶんお世話になったなつかしい場所だ。

館内の投影機

 当時は咳きばらいひとつせず、静かに説明をきいたものだった。ところが、今どきのプラネタリウムときたら、全員参加型の おもしろい教室の雰囲気なのだ。しかもサービス精神旺盛な若いスタッフによって、楽しく学べるように、それはそれは涙ぐましい ほどの工夫がこらされていた。

 毎月ちがった話題をとりあげ、館内では「天文クイズラリー2002」と題して、クイズも出される。たとえば「水星を見たことない 天文学者は誰でしょう?」との問いに、音楽が流れる10秒間の間に考えて、3枚の番号カードのなかから答える。

 番号カードは、赤、黄、緑に色分けされて、暗いなかでも光るようになっていて、これがなかなかきれい。この日の担当の 大場さんが、どこかのクイズ番組を真似て「ファイナルアンサー」と言えば子供たちも元気に「ファイナルアンサー!」。

たのしいクイズに挑戦

 ちなみに、答えはあの地動説をとなえたコペルニクスだった。クイズのテーマは毎週ちがうそうで、通うほどに天体通になる というわけだ。7月の話題は、おなじみの「七夕ものがたり」。知っているようでも、聞いてみるとそうだったのかということが多い。

 夏の大三角形として有名な3つの明るい星・デネブ、ベガ、アルタイル。この3つはそれぞれ白鳥座、こと座、わし座、という星座 になっている。このうちのアルタイルが彦星、ベガが織り姫で、七夕ものがたりの主人公だ。

 天の川のほとりに住む美しい娘・織り姫は、働き者で機織りの名人だった。天の川の向こう側には、牛を引いて畑を耕すこれ また働き者の彦星が住んでいた。「化粧もせず、合コンにも行かず、2人はワーカーホリックでした」とのナレーションには、大笑い。

スタッフの大場さんと吉田さん

 やがて2人は結婚するが、相性が良すぎて働くことを忘れてしまい、牛はやせ衰え、機織り機はクモの巣だらけになる始末。 そこで「許さん!」と、天帝の怒りにふれ、2人は引き離され、年に一度だけ七夕の日に逢うことをゆるされた。

 七夕の日は、カササギがやってきて、天の川につばさの橋をかけてくれ、彦星は無事に織り姫のもとへ行くことができた。 それでも雨の日はカササギが橋をつくることができない。2人がなんとか無事に逢えるようにと祈ったのが七夕の始まりだとか。

 じつのところ、この織り姫と彦星の距離は、光りの速さで16年もかかる距離だそうで、デートの約束を交わして、よっこらしょと 会いに行くと、お互いにお爺さん、お婆さんになっている距離だそうな。今年の7月7日の旧暦を今に直すと、8月15日が本来の 七夕の日に当たる。

 柏のプラネタリウムは、全国で2番目に小さいものだとか。それでも物語りにはボランティアの美しい絵が使われていたり、 スタッフの熱意が伝わる、なかなかアットホームな投影である。この日の担当は、大場富士夫さんと、吉田麻子さんの2人。

 この道18年という大場さんは、小さいころから月食や遊星群を一晩中でもながめていた天体少年だった。吉田さんは、 プラネタリウムの番組制作会社の社員で、お客さんに直に触れて、どういうことが求められているかを知るために、お手伝いに 来ているというやさしいお姉さん。

 投影が終わると「きのう金星と三日月を見ましたよ」と、ひとりのおばさんが少女のような顔をして報告をしていた。ノートに署名して 会員になれば、カードにスタンプがもらえる。スタンプ10個で「がんばったで賞」ということになって、星博士にチャレンジできるそうだ。 私もさっそく会員になった。

 昨年11月19日未明のしし座流星群は、眠さに負けて見逃してしまった。1時間に3000〜5000個も出現したというからくやしい! 「宇宙なんでも質問箱」では、「ブラックホールのなかはどうなっているの?」とか、「星の数はいくつあるの?」とかいう質問に対する 解答が、入口に展示されている。

 投影日は毎月、第2土曜日・日曜日、第4土曜日・日曜日の午後で、階下の図書館入り口で整理券をもらうようになっている。 図書館に行ったついでに、ちょいと2階のプラネタリウムをのぞけば、あなたもほんのひとときロマンに満ちた異次元の世界に遊ぶことができます。 これぞおすすめのスポットです!