後藤太一氏

柏駅周辺まちづくり勉強会2013〈第6回〉
持続的な成長に向けた地域戦略
~福岡での取り組みを通じて柏の可能性を探る~

講師: 後藤太一氏
福岡地域戦略推進協議会 事務局長/
合同会社 福岡アーバンラボラトリー 代表社員
ゲスト: 出口敦氏
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授/
柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)センター長
日時: 平成26年1月24日(金) 18:00~
会場: アミュゼ柏プラザ
主催: 協同組合 柏駅東口中央商店街連合
共催: 柏駅前通り商店街振興組合、商店街振興組合柏二番街商店会、柏商工会議所、(一財)柏市まちづくり公社
   
PDF: 持続的な成長に向けた地域戦略 本編(PDF:299KB)

司会あいさつ(柏市まちづくり公社 江田氏)

本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
本日はまず初めに合同会社 福岡アーバンラボラトリー 代表社員 後藤太一様にご登壇いただき、持続的な成長に向けた地域戦略 ~福岡での取り組みを通じて柏の可能性を探る~をテーマにお話をしていただきます。
続いて、第1回まちづくり勉強会にてご登壇いただきました、柏の葉アーバンデザインセンター(以下UDCK)センター長の出口敦様にもご登壇いただく予定です。

はじめの言葉(柏市まちづくり公社 柴田氏)

どうも皆様今晩は。今日も多数のご参加ありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年度最後の勉強会にふさわしい講師の方にお越しいただきました。
これからの柏の街づくりにおいて、何をやって、何をやらないべきか、有意義な話が聞けることを期待しております。皆様最後までよろしくお願いいたします。

第1部 後藤太一氏講演

1 はじめに

福岡VS.東京>柏

東京駅から柏まで行く間に、福岡の場合はど真ん中から田舎まで行ける。
都市の大きさが違う。「東京大都市圏の中の柏」というのが経済的事実。
単純な比較は難しいと思いますが、福岡と柏がスケール感においても大きく違うことをまずは理解したうえで聞いていただければと思います。

3年間で世界は変わった。福岡は変わったか?

「点をつなぐ(スティーブ・ジョブズ)」
我々は走りながら考える協議会です。上から下まで論理的に進めることはできません。世界が動いている以上、1年前に立てた計画は陳腐化してしまいます。様々なことに取り組みながらあとから整理、組み立ててきた3年間のお話をご紹介します。

不確実な時代の到来

未来が予測できない、ますます不確実な時代に生きています。それを前提にまちづくりをしなければならないというのが私の基本認識です。ロードマップを描こうとしても作れない。理論的に考えてもやってみて結果失敗するかもしれない。専門家に聞いても答えなどわからない。ネットで群衆に聞いた方が答えがわかるかもしれない。こういう認識で動かないとうまくいかないのではないか?

地域経済圏の勃興

今日の世界経済は都市地域のネットワークによって成り立っている。経済を考えるとき、たとえば福岡と上海、シンガポールという単位で考えざるを得ない。

世界地図上の福岡

福岡は世界地図上でどの程度認識されているか?残念なことに外国からみた福岡はほとんど知られていない。世界の人たちにどう評価されるか?何をもって福岡は面白いと言われるか?「福岡ならではの価値」を踏まえて福岡市の職員と分析をしています。

2 福岡地域戦略推進協議会の取り組み

そもそも、なぜ、どのような成長が必要か?

キーワードは地域の戦略と推進。地域における戦略とは何か?お話します。
持続可能な地域づくりにためには経済成長が不可欠。
成長とは「お金」であると定義づけしている。
成長が止まると「将来への投資の原資がなくなる」「ヒトや金が集まらなくなる」「世界経済における相対的な位置が低下する」。

  • 成長=経済活動を通じて生み出される地域の総生産額 すなわち付加価値額の増加
  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課+特許使用料

福岡都市圏の生産年齢人口減少

唯一外れない将来見通しが人口動態。福岡の人口は増えているが10年経つと働き手は減ります。高齢者が増え、少なくなった稼ぎ手で地域を支えるため、嫌がおうにも成長が不可欠と考えている。

福岡都心はまちづくりの先進地?

天神と博多。2つのエリア・マネジメントの取り組みが活発で、有名な街づくり地域になっている。一方で、これだけでは成長しないと考えているので、新たな取り組みを始めた。

福岡のまちづくりは、世界のモデル?

「住みやすい街」から「持続可能な街」へ。
「開かれた社会」「質の高い雇用」。
「環境」「社会」「経済」がバランスのとれたまちづくり。

福岡の弱みと改善の方向

国際経済とのつながりが弱く、優秀な人材が来街する機会に欠ける。
そうした評価が世界の研究者たちから言われているということを市長、職員全員で共有している。例えば福岡の人たちだけでまちづくりワークショップを開催しても意味がない。見る人が見ると全く違う見方をしている。この見方をみんなで学び、活動を始めている

世界の地域づくり/設立に至る背景①

国際地域ベンチマーク協議会2010(福岡・バルセロナ・大田広域市・ダブリン・ヘルシンキ・メルボルン・ミュンヘン・シアトル・ストックホルム・バンクーバー)への参加をきっかけに官民地域一体でまちづくりの必要性を感じ、一致団結した。

日本の新しい公共/設立に至る背景②

国土交通省から、法的支援制度の構築を行う上で国の対等なパートナーとして選定をうけ、「官」の「縦割り・横割り」の制約や「民」の政策決定過程への関与の弱さを克服するため、地域の「官」と「民」が連携し、地域戦略の策定段階から実施に至るまで一貫して関与し、自発的に地域の活性化を進めるべきだと考えた。

Fukuoka D.C.とは?(以下FDC)

福岡都市圏の成長戦略から推進まで一貫して行う産学官民の連携組織。

  • 国際競争力の強化による福岡都市圏の持続可能な成長が目的
  • 対象範囲が福岡市を中心とした広域都市圏単位(経済は一つの自治体で完結しない)
  • 専任の事務局を設置(中立的かつ集中して機能する事務局)
  • FDCの特徴

    1. FDCは戦略を立案し実行する主体である。(参加者は全員当事者である)
    2. 世界の目線で情勢を認識し戦略を組み立てている。(考える場に外国人を呼び込む)
    3. 民間活力の投入と公共政策の担保が連動している。
      (福岡都市圏の成長戦略が福岡市マスタープランに位置づけられる)
    4. 市民の主体的な参画を増やそうとしている。(オープンな協議の場づくり)
    5. 域外の知恵や資本を積極的に呼び込んでいる

地域戦略の策定

「地域診断」をきちんとやらずに「地域戦略」を立案すべき。
あてずっぽうの地域診断をしないことが大切。

地域診断/キーパーソンへのインタビュー

福岡都市圏内外の地域で116名にインタビューを実施。

  • 福岡はオープンに見えて実は閉鎖的
  • 福岡の財界は極端に閉鎖的
  • 福岡がどこにあって何をやろうとしているのか、誰も知らない
  • 地域戦略に持続性がない
  • 教育水準が低いイメージ
  • プロフェッショナルな水準の人材が少ない
  • 思いのある人に仕事を任せない。評論家が多すぎる。

地域診断/データ(一例)

  • 福岡都市圏の地域総生産額(GRP) 福岡市7.5兆円と周辺地域10兆円
  • GRP年平均成長率 1.7%
  • 国際ベンチマーク 2015年の実質GRP額の世界主要都市ランキング79位(2008年は73位)
  • 福岡都市圏の産業特性の確認(福岡市の周辺都市圏で製造業が伸びていた事実)
  • 産業別の優位性と成長性の確認
  • まちづくりの実績とこれからの方向性(地域全域にどれだけの投資が行われてきたか?)
  • 人口動態(福岡都市圏、九州)
  • 観光客数の増減
  • 国際コンベンションの強化の余地
  • 大企業、中堅企業数、支店数
  • アジア市場の分析
  • 周囲で進む広域経済圏の形成(東京~大阪、上海~南京 5千万人規模の広域経済に挟まれる九州・福岡)

徹底した地域診断を踏まえて情勢認識を共有

「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4軸で現実を冷徹に認識しつつ、攻めの姿勢と現実性のある戦略を策定 

将来像の設定

「東アジアのビジネスの拠点になろう。」
日中台韓のビジネス交流・開発・営業の拠点 →具体的に東京・ソウル・北京・香港・上海・台北と付き合っていこうという認識を共有。

目標の数値化

精神論のスローガンにならないよう目標を数字化。
10年間での達成目標を全員でコミットした。

  • 域内総生産 +2.8兆円
  • 雇用    +6万人
  • 人口    +7万人

戦略の策定

交流の活性化により質を重視した成長を図る

  • 地域の外に向けてビジネス挑戦する環境を作る
  • 人材の多様性を強化する(女性の社会進出、国際的環境)
  • 革新的・創造的な交流の場を作る

工程の組み立て

  1. 短期:交流人口の増加(MICEなど)
  2. 中期:ビジネスの開発(社会実験など)
  3. 長期:輸出産業の成長(雇用の創出)

重点分野の絞り込みと部会の設置※福岡ならではの差異性を重視

8つの重点産業分野を「事業採算性」「成長性」の2軸で分析。
さらに全国(=東京)と福岡で分けて検討し、「観光」「環境」「食」の3部会を設置。
※8つの重点産業分野

  • 高等教育の産業化
  • デジタルコンテンツ産業
  • ファッション産業
  • 集客・交流の産業化
  • 通販ビジネスの高度化
  • 食の6次産業化、海外展開
  • 生活関連サービスの高度化
  • グローバル企業・施設の誘致

産業以外にもビジネスを支えるインフラ基盤からソフト面での「人材開発」、ハード面での「都心(街づくり)」の2部会を設置。

何をやっているのか?

当初の並列5部会から、議論を進めていくうちに観光(MICE)を軸としたテーマごとのプロジェクトを5つの部会にて推進していく形となった。

観光(MICE) - 人材(イノベーション)
- 環境(スマートシティ)
- 食(食産業振興)
- 都市(都心再生)
  • 観光・・・国際的なイベントが盛んな地域へ
    →MICEの誘致受け入れ、企画に特化した専門性の高いワンストップ組織を設置する
  • 環境・・・人々がICTを使いこなす効率的な地域へ
    →生活インフラ全体を統合し、より効率的な都市づくりと持続的成長を図る
  • 食・・・魅力的な食が人と投資を惹きつける地域へ
    →美味しい食が産業になっていない→フードエキスポの開催(福岡・九州)
  • 人材・・・市民力を使った新たな価値(商品)を生み続ける地域へ
    →イノベーションスタジオで異業種と市民が交流し新しい価値を生み出す場づくり
  • 都市・・・世界から人を惹きつける(国際化する)都心のある地域へ
    →今、福岡に住んでいない未来の働き手が住みたくなるまちづくり
     まずはどこのエリアから手を付けるべきかを決めて、行動を開始することが重要。

3年間の成果

  1. 協働の基盤を発展させることができた
    ・会員数 36社 → 86社※主に域外企業が増加
  2. 閉鎖的なイメージの福岡で域外へのワンストップ窓口を確立した
    ・日本政府本省以外にも外国の政府・自治体・NGP等の団体から直接連絡が来るようになってきた(対内投資受入支援、域外企業へのビジネス開発支援など)
  3. 事業体の目論見(MICEビューロー、ウォーターフロントのアセットマネジメント)が見えてきた
    ・戦略策定・部会設置、運営を経て政策への反映、規制緩和を実現。事業を実施する立てつけ(法人組織設立)が見えてきた。

3 最後に 2020年の世界

3ヵ年が終了し、次はどうするのかを、今まさに話し合っています。
改めて2020年の共通幻想をみんなで考え直して組織の再設計をしているところです。

  • 世界地図に載る福岡(FDC戦略目標の達成)
  • 世界に本当に選ばれる福岡の価値を作る(イメージ戦略から実態ある価値づくりへ)
    1. イノベーションの場
    2. 巨大市場へのアクセス
    3. ビジネス開発支援基盤
    4. 暮らしの質

福岡から世界へ、外へ打って出る企業があつまる地域づくりのために国際地域への日常的なアクセスの窓口を作っていく関係を地域として作ろうというのが2期目の一番のポイントになるのではないかと思っています。

最後に、2期目はたくさん行ってきたプロジェクトを社会運動(市民運動)にしたいと考えています。産学官民連携の取り組みの中で、もっと「民」が参画できるようにしていきたい。このプロジェクトの主役たる「民」がFDCが作る基盤の上で花開いてほしいと思っています。

ご清聴ありがとうございました。

第2部 後藤太一氏・出口敦氏 ディスカッション

第2部 後藤太一氏・出口敦氏 ディスカッション

1 はじめに(出口敦氏)

今日の福岡の話を柏に置き換えてみると、どういうことが出来るのだろうか?どういうことをやっていけるのだろうか?ということを、この機会に皆さんには考えていただき、後藤さんにご質問していただいたり、あるいは福岡のことで興味があることをご質問していただいたりしてもらえればと思います。

質問1:出口

戦略を立てる前にCTスキャンのお話が合ったが、行政やJR、西鉄、交通局等の鉄道事業者が管理している交通のデータを集めて組み立てていくノウハウというのは非常に重要ではないかと思う。そういうデータを分析するプロセスをご説明いただきたい。

質問2:出口

FDCのメンバーである九州大学がどういう役割を果たしているのか?

質問3:出口

後藤さん(FDC事務局長、We Love天神協議会幹事、明治通り街づくり協議会の中心的役割)自身の職能・役割とはどういうものなのか?どういうプロフェッションを目指されているのか?柏においてそのような人材はどのようにすれば育っていくのか?

2 ディスカッション

質問3に関するディスカッション

(後藤)
最終的には新しい職能を作りたい(横文字で言うとシティマネージャー)。
首長が変わるたびに専門家を入れて補佐官として(たとえば黒田官兵衛のような)
専門的中立的な立場として行政のトップに意見・提案をする存在を日本で作りたいと思っている。
アジアは首都しか元気な都市がない。世界からお客が呼べて住民も幸せというナンバー2の都市がアジアにどれだけあるのか?そういうモデルを福岡でつくれればと思い、福岡に行きました。

(出口)
そういう職能をもった人材はアジアのほかの都市にはないのでしょうか?

(後藤)
ヨーロッパやアメリカではそういった事例は多いが、アジアでは(私自身は)聞いたことがないです。

質問1に関するディスカッション

(後藤)
データ分析については、福岡の場合、やって当たり前という雰囲気があった。この取り組みが産(民間)が主導であったからです。経済成長は官(行政)には出来ない。民間が主役、トップも民間であるといいことが大事。民間であれば当たり前に行っている経営戦略のためのデータ分析を徹底的にやることが1年目、悩まずに行えた。

手法としては実は行政のWEBサイトなどに大量に情報が掲載されており、これに気付いていない、使えていないというだけ。その使い方を専門家がサポートすれば良い。
福岡の場合、行政スタッフにサポートしてもらうという建付けで政策投資銀行の鍋山徹氏をFDCの頭脳として来てもらい、その調査チームを中心に分析を行った。

質問2に関するディスカッション

(後藤)
この協議会の場合、大学の役割、付き合い方ですが、基本的には先生とは直接付き合わないようにしている。大学の事務方のトップと付き合っています。
法人としての大学として付き合ってもらい、テーマに応じて適切な先生を紹介してもらうようにしている。立場やバランスを考慮するということは絶対にやらない。
また、投資をしていたり、企業と組んで開発を行ったり、パテントを管理したりという、巨大な法人としての大学の経営力そのものをFDCで活用してもらっている。
そして必要に応じて産官からは中立的な立場として大所高所から意見をいただくという3つぐらいの役割を大学には担っていただいている。

(出口)
先ほどの部会のなかでは大学はどういう役割を果たしているか?
部会にも参加しているのか?

(後藤)
部会には参加しています。観光(MICE)については大学の事務方に入ってもらい、国際会議の開催数を増やそうとしている。
国際会議の数は全国で第2位の福岡だが、そのほとんどが九州大学の先生が手弁当で行っている。それを大学の事務方が入ることでつないでいくことをやっている。
スマートシティ部会では大学の先生が部会長をやっていて全体をけん引している。
都市再生部会では事務方を中心に進め、恒常的に大学の先生に関わっていただくということはしていない。節目節目で指摘をいただいている。
人材部会では、大学の知的財産本部と付き合い、若い研究者や学生と組んでどのように新しいイノベーションを起こすか、この仕組みを作っています。

<質問コーナー>

質疑1

福岡経済圏という考え方で活動をされているFDCにおいて福岡市以外の周辺地域(都市)がどのようにFDCに関わっているのでしょか?

回答

現在、FDCに関わっているのは福岡県と福岡市のみ。2期目では周辺地域の参画は必達目標であると考えている。どういう連携ができるのか、働きかけていこうと思っています。
大宰府天満宮、宗像大社、糸島など観光面でうまくいっている周辺都市との連携から、それ以外の地域との連携を進めていきたい。

質疑2

全体の話から地域の再開発など「地区」に落とし込んで考えていくとき、成長目標値(お金・再開発計画)をFDCでは地区ごとのプロジェクトに対し、どのようにリンクをさせているか?どのように地域に落とし込んでいるかの?

回答

整合性を気にしないということが大事だと思っています。
FDCの役割はビジョンを掲げる(象徴的な成長目標値)こと。
作業としては、業種・ひと・空間構造など徹底的に地区を分析し、地区の違う個性(エリアの個性化)、ポジションを明確に決めて、それを互いに認識してパイの奪い合いを極力しないように差異化していくことが大事だと思っている。
そのうえで収支などを話し合っている。

質疑3

(質疑2の回答に対し)地区のどういう人たちと議論をしているのか?
それぞれの地区の想いなどがあると思うが、どのように巻き込んでいったのか?

回答

海外のコンサルタントを使い、しがらみのない視点から分析を行ったうえで、当事者(地権者等)がその分析を参考にしながら話し合った。

質疑4

人口150万人都市の福岡と人口40万人の柏を比べたとき、FDCのような大掛かりな取り組みが柏でもできるか?

回答

当然やっていけると思うが、やり方が違ってくると思います。
シティマネージャーのようなひとがみんなと話をしながら、テーマを絞り込んで進めていくと良いのではないか。

質疑5

全国に柏を発信していく必要性と、(東京を意識した)首都圏内での柏の役割をどのように作っていくか?ご意見を聞きたい。

回答

イメージ戦略(プロモーション)を最初にしても失敗してしまうと思っている。
プロモーションに力を入れてせっかく福岡(九州)に人を呼び込んでも、仕事がない、取引したい会社がないということに気が付いてしまう。化けの皮がはがれてしまう。
そうならないコンテンツ(中身)を作ることを1期目は一生懸命行った。
2期目は国際会議などテーマを絞ってプロモーションしていくことを考えている。

信じて走って巻き込んでいく。
始めることで気づきがあるのではないかと考えている。

質疑6

柏は今、We Love柏キャンペーンを張ってエリアマネジメント(地域活性)に力を入れている。その際に交通の問題が大事だと考えているがどうか?
また、We Love天神協議会をどう評価しているか?

回答

福岡の成長戦略を考えるとき、実は1期目は交通の話を考えてこなかった(横に置いていた)。交通があるから経済成長があるのではなく、あくまで交通インフラはサポートであると考えていたが、3年が経過し、中身(コンテンツ)が整ってきたとき、改めてそれらをつなぐ交通インフラというものをもう一度考える段階に来ている。
都市全体としては交通を事業化するとき、不動産開発、投資などをどう組み込んでいくかを考えていく準備をしている。
地区で考えると、地域のキャラクターを認識したうえで地域間連携をどのように考えていくかを改めて考え始めている。

We Love天神協議会については、停滞感を感じている。
働き手や住民を増やすことに直結していないということと、会費で運営している限界を感じている。
自主財源をもって運営していく必要があると考えている。

3 さいごに (秋山市長)

後藤先生、出口先生、どうもありがとうございました。
柏は福岡に比べ、東京依存しながら他の東京圏都市に対し、どういうポジションを作っていくかを考えていけばよいという意味では柏は本当に恵まれていると感じました。
また、データ分析のお話は柏にとって大変示唆的であると思いました。柏ではおそらく東神申開発(髙島屋)が一番データを持っていて、では柏市が東神開発(髙島屋)と仲良くやっているかといえばそうではない。この部分をなんとかすることが自分の大きな仕事であると感じました。
今後も柏の立地を生かしてデータ分析を徹底的に活用し、事実を知って、何が強みで、どういう人が来ていて、今後どういう人に来てもらいたいかを考え、戦略を組み立てて行きたいと思います。
本日はありがとうございました。

閉会のあいさつ(出口氏)

冒頭、後藤さんから「点をつなぐ」というお話がありましたが、私はまずは「ひとをつなぐ」ということが非常に大事であると思います。そういう意味では同じ地域にいながら、半径1KM以内にいる人たちがFDCの活動を通じてつながっていたことがFDCと後藤さんの最大の功績は人をつないだということだと思います。
柏もさらに強固にひとをつなぐ活動をしていっていただければと思います。
今日はどうもありがとうございました。

以上

注釈

Fukuoka D.C.: 福岡地域戦略推進協議会「Fukuoka Directive Council」の略称。
協議会の活動内容等は、本文参照のこと。
MICE(マイス): 以下は、JTB総合研究所サイトにある「観光用語集」から引用。
Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(法相・招待旅行)、ConventionまたはConference(大学・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、一般の観光旅行に比べ参加者の消費額が大きいことなどから、MICEの誘致に力を入れる国は地域が増えている。日本でも、国のインバウンド振興策に連動し、自治体による海外向けの誘致活動が盛んになっている。